2017/12/29

2017年のベストトラック 20

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1. JW Ridley - Everything (Deathless) 




このビデオを見れば全てがわかる、だからもう言葉はいらないのかもしれないけどそれでも書く。JW Ridleyの素晴らしさ、陰鬱なドライヴ感に詩的な歌詞、自然とJoy Divisionって言葉が頭に浮かぶし心がざわつく。美しい若者が奏でる陰鬱な音楽、これに心を奪われない人間がいるだろうか?美しいものが嫌いな人がいて?ララァはそう言うし僕も思う、そこには決して消えない光がある。


2. Dead Pretties - Confidence




Dead Prettiesはもういない。ガキみたいに見えるけど言ってることはマジだぜ!その言葉通り本物のパンクスだってことを証明してアルバムを出す前に解散した。二枚目の、そして最後の7インチ、キレる一歩手前で唾吐くヴォーカル、怒りと主張、若さをバッグに詰め込み壁の向こうへと放り投げ、あっという間に消えてった。


3. Sons of Raphael - Eating People





圧倒的な存在感、モジャモジャ頭にクールなイケメン、LoralとRonnel、サイエントロジー創始者の名を持つ兄弟二人、思春期に抑圧された魂を解放させる。チープなドラムマシンを前にギターをかき鳴らしぶちまける思いの丈、しかし暴力はなく屈折した心と複雑なシチュエーションがそこにある。なにはともあれ特筆すべくはそのキャラクター、なにかが始まる予感が確かにする。



4. COLD CAVE - GLORY



1982年のJoy Division、ありえなかった歴史の揺らぎ。勝手に意見を押しつけ想像し消えた未来を夢見る日々、退廃的なNew Orderみたいなそんな曲。Cold Caveで一番好きかも。



5. Joy Again - Kim




EPといい今年は良い曲いっぱい出したぜ、Joy Again。なんでもなさそうでいて癖になる、そんなフック一発二発であっという間に心が躍りKOだ。ベッドと言う名のマットに倒れ込んでは考える。つまりは女の子の話なんだろう?枕に顔を埋め、手足をバタバタさせて聞きまくる。なんてことない特別な、僕らの日常。


6. Alvvays - Plimsoll Punks




あざといくらいの声の使い方、彼女は自分の可愛さをちゃんと知ってる。だから心だってあっという間につかまれる。それはまるでデコレーションされたケーキのごとく過剰なようでいて無駄がなく、口にすれば直ちにおいしさが広がってすぐさまもう一口食べたいって気にさせられる。広がる幸せ、たぶんこれがポップソングの魅力ってやつに違いない。最後に声が裏返るところなんてそれはもう……。

7. Goat Girl - Cracker Drool




サイコガレージ、最高ビリー、この引き出しもThe Libetinesを思い起こさせて……60年代マナーのあれこれ、Goat Girlはマジでいい。本当に大好き。期待に胸を膨らませアルバム待つ。


8. Peeping Drexels - The Goof




やっぱりそう、ロンドンのストリートのあの匂い。乾いた音にがなり気味のボーカル、感じる色気、不良の魅力、何度だってそれに騙される。パンクの魔法はセクシーの矛盾、乾いているのに濡れている。


9. HMLTD - Music!





80年代の少女漫画が夢見たSF世界のバンドHMLTD。メンバーみんなが近未来からやってきた。近未来とは空想世界、魅せることの大切さを自覚して、自らの手で夢の世界を作り出す。もちろん大事なのは音楽だけど、しかしムーヴメントはいつだって音楽以外のものと共にあった。今、何かが起きている、それを知り意志を持ち、魅せる彼らは強く特別、結局のところ主役は人間なのだから。だからつまりライブがみたい。



10.  Lolina - Keep It Movin'



微妙なズレの心地よさ、癖になる不穏な空気、いつものInga Copelandといえばそうだけど、これは過去最高に癖になる。日常のふとした瞬間に口ずさむ、cash and carry, cashing carry on 呪詛的なのに明るい響き、不穏で不思議にニュートラル。相変わらずわけがわからないけれど、わけがわからないからこそ魅力的。


11. Hotel Lux - The Last hangman





パブ、隣の席の若者たち、彼らは酒を飲んではくだを巻く。議論は白熱し、頭でっかち的に繰り返される引用、それが妙に耳に残って……。苛立ち、失望、悲しみ、怒り、しかしそれをストレートには出さない。酔っ払ってはくだを巻き、議論をしては煙に巻き、本や映画や歴史から教訓を得ようとする。最近マーク・E・スミスのような、つまりThe Fallスタイルのバンドが増えたのはきっと世の中に対して言いたいことが増えたからなんだと思う。主張とは直接的ではないからこそ意味がある。感じるための言葉、考えるための出来事だってHotel Luxはたぶんそいつを知っている。


12. Sports Team - Beverly Rose





3分弱、172秒で広がる世界、スタッフロールが流れてきそうなリフから展開していってあれよあれよと進んで行く。ボリューム感はあるけれど胃もたれはしないPavementマナーの歌謡劇、ドラマチックにまた来週、なんとも言えぬ満足感。


13. Heaven - Lock & Key




スクリーンの向こうの世界、思い描いた夢の形、それをここまで表現してくれるのならもうなにも言うことはない。頭の中で古き良き時代の見たこともない映画が展開されて、それでずっと幸せな夢を見ていられる。それならChromaticsでいいじゃない?そうかもしれないけれど、しかしなんだかどこだか違う。



14. Trouble - Snake Eyes




だって格好いいんだもの。このギターの音だけで持って行かれる。デヴィッド・リンチの息子の非常にデヴィッド・リンチっぽい音楽。そういえば初期のDirty Beachesもフィルムノワールっぽい雰囲気でリンチっぽかったかもしれない。体でリズムを取りながらそんなことだって考える。格好いいものは理屈抜きでも格好いいし、理屈があっても格好いい。


15. Patience − White Of An Eye 



思いを馳せるブラウン管、海の向こうの音楽たち。Veronica FallsのRoxanneのソロプロジェクトPatience、それは彼女が解釈する80年代なんじゃないかってそんな気がしてる。MTVの80年代、よりポップによりロマティックに、第三弾のこの曲はどこか出来の良いアイドルソングっぽさもあって……それってつまりStrawberry Switchbladeってことじゃない?そんな気だってするのです。ギターが入って来るところが本当に好き。


16. Buttechno - Mr Heroin




薄暗い頭の奥底で上映されている映画みたいなそんな音楽、ソリッドではなくドープでアンニュイ。グッドイブニング、ボンソワール、だけども感触は東欧の白黒映画みたいなそんな感じで……今夜もベッドのシートに沈み込む。


17. Wesley Gonzalez - In Amsterdam




ダメなんだろう、わかっている、ダメなはずだ、そんな風に言わなくても伝わってくるダメさ加減。In Amsterdamって曲のビデオをイビサで撮っちゃうこの男(おまえそういうとこだぞ)しかしこの愛おしさはいったいなんなんだろう?そこが魅力でそれが全てのポップソング、愛こそはすべて、駄目な僕、ジョン・レノンにブライアン・ウィルソン、良い曲っていうのはたぶんきっとそういうこと。おそらくだけどたぶんそう。


18. (Sandy) Alex G - Sportstar




オーガニックで奇妙キテレツ、伝統的な要素を継承しつつもへんてこりん。それをぐりぐりぐりぐり擦り合わせては混ぜ合わせ、そしたらなんだか素敵な調和が生まれてた。実のところ伝統ってやつには繰り返された実験が隠れているんだ、 最新鋭の伝統芸能、歴史とは常に未来へと進むもの。


19. Milk Disco - Weekender




強迫観念的なTalking Heads(時々フランツ)。そうだ、しなければならないんだ、僕はこの週末を楽しまなければ。麻痺したようなギターにあわせて襲ってくる感情、他の誰もがしているように、それは焦りを解消するための喜びで、楽しみはそこに存在しない。しなければならない、僕はしなければ、迫り来る強迫観念、得もいえぬUnknown Pressures。それはしびれのようにこびりつく。


20. Draa - Even In My Dreams (All My Life)






長くは続かないことはわかっている、この感情はきっといつか消えてしまう、しかしだからこそ素晴らしい。これ以上の未来なんてなくたって構わない、The Smithsを聞いてそう感じることができる今だからこその輝き。決して報われることのない青くはかない美しさ。




2017/12/05

2017年のベストアルバム

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1. The Caretaker - Everywhere At The End Of Time Stage 2





優しさと共に溶け出す思い出、走馬燈のように穏やかで静かな時間、柔らかな光に包まれた記憶のゆりかご、素晴らしい時間は確かにそこに存在し、そうしてそれは過ぎ去った。
シリーズ第二作、それは失われた違う惑星の思い出のようでもあり、前世の記憶のようでもあって……宇宙はわれわれひとりひとりのなかにある、そんなネイティブ・アメリカンの言葉だって頭に浮かぶ。居心地の良い、暖かい、柔らかな、記憶は変質しやがては失われていくのかもしれないけれど、出来ることならこのまま思い出に浸り続けていたい。ソラリスの海の中で感じる光、穏やかで優しい記憶、静かな波風がゆっくりと歩みを進めて向かってくる。たどり着くのはいったいどこか?






2. Sorry - Home Demo/ns Vol I



Sorryがなぜ特別なのかわかるかい?Dean Bluntの感性にInga Copelandの強い意志、Asah Lorenzはギターを手にひとりでHype Williamsをやっている。口からこぼれ出る言葉は社会を見つめ個人に寄り添いそれが上質なメロディでコーティングされている。意志を形に変える力、不穏な雰囲気を美しさに変えて閉じ込めた手作りの箱船、そこには世界の空気が詰まっていてボリス・ヴィアンの序文のようなそんな小さな部屋の強味を感じる。
その上もう一人のソングライターLouis O'Bryenが書いたであろう曲も素晴らしく、彼のヴォーカル曲がこのデモテープでもアクセントとしてこの上なく機能している(それはあっさり気味だがとてもよく……)。
だけど、デモテープだよ?それがどうしたんだい?そんなものはこのセンスを前にしてはもはや些細な問題だよとゴリ押ししたくなるポテンシャル、期待感と可能性、センスは全てにおいて優先される。人生でだいじなのはどんなことにも先天的な判断をすることだ、やっぱりボリス・ヴィアンがそう言っている。








3. Tangerines - Into the Flophouse





2017年、ロンドンは燃えているか?Goat Girlにそれを感じDead Prettiesに心を躍らせ、Tangerinesに思いをはせる、ロンドン、ストリートのこの匂い。奇跡のようだったThe Libertinesを知って以来ずっとそれを追い求めてきた。適当にかき鳴らされたようなギターにナイスなメロディがのっかって醸し出されるやさぐれた不良のロマン。洗練されたThe Strokes的なクールさとは違う路地裏の大衆文化のかき集め、パブで酔っ払い一緒に唄って次の店へと歩き出す。これでもかと詰め込まれた日常の、生活の愛おしさ、それがロマンへと通じる唯一の道で、そいつが物語に厚みを出す。まぁいいとにかくスコッチ飲んで乾杯だ。一緒に唄って眠ろう。そしたらまた新しい一日がやってくる。そこに感じる愛、愛しき日々とろくでなし。








4. Eyedress - Manila Ice



ロマンティストがさいなまれる無力感、世界はぐちゃぐちゃで悪がはびこり支配して、しかし自らの感性がそれに迎合することを許さない。それができたらどんなに楽か、しかしできないからこそ感性は磨かれる。どこに行っても違うもの、厭世的なアウトサイダー、でもどこかまだ世の中を信じていて……人間の美しさと愛おしさ、ロマンティストだからこそ信じられる未来、心地の良い音楽はジャンルを超え国を超えロマンと感性で繋がっている。







5. Kirkis - Vide 


ロマンティックを気取る変態、体はしびれに支配され、混沌がのたうち回りくだを巻く。現実は醒めない悪夢で夢とは幻、漂う危険な香りは現実感がないのに重さがあって、80年代ニューウェーブ期に存在していたのかもしれないホンモノらしさを演出する。薄暗い裏道に街灯のスポットライト、いてはいけない場所にいるってことはわかっているけどどうにもならない。ヤバさの魅力、隠された秘密、抗うことの出来ない幻覚、天井を見つめ目を閉じ考えそして聞く。そう、ヤバさはここに存在する。







6. The Horrors - V



幽体離脱、地上から立ち上る煙、その白い煙はまるで靄のように辺りを隠し、眼には影しか映らない。手を伸ばしそれに触れようとするけれど実体はなく気づけば雲になって浮かんでいた。不安で不穏な浮遊感、薄気味の悪いジャケットは肉体を捨てきれない未練がにじみ出ているけれど中身はもはやそこにない。不安、されど感じる心地良さ。








7. John Maus - Screen Memories


知っているか?この押し入れは宇宙と繋がっているんだぜ。はったりに誇大妄想組み合わせ嘘を本当に見せる詐欺師の男、80年代のB級SF映画のような胡散臭いホンモノらしさ、嘘だとわかる作り物のリアリティが形になって押し入れのスクリーンに映し出される。目の前に広がる宇宙、スピードあげる宇宙船、繰り広げられるスペースオペラ、チープさが癖になって繰り返す。だってわくわくしてくるだろ?スクリーンの向こう側の世界はいつだってそこに広がっている。






8. David West with Teardrops - Cherry on Willow



結局Rat Columnsと何が違うんだい?わからないそんなこと。わかっているのはこのジャケットが格好いいってただそれだけ。頭の中に広がるのは中期のThe Kinks、Muswell Hillbillies、緊張感が漂いつつも同時にリラックスもしていて、ニュートラルに数滴エッセンスを垂らしてコントロールされたようなそんなテンション。お茶を飲んで味を確かめぼんやりし、これからどう過ごすのか考えをめぐらし、そうこうしているうちに今度はお酒が飲みたくなってくる。とどろく雷鳴、そうしてまた最初に戻って繰り返し。







9. Hype Williams − Rainbow Edition


Hype Williams第二章、名を騙り姿を偽り再び架空の映画のサントラみたいな音楽を紡ぎ出す(しかし今回はTVシリーズかもしれない)。シーンを表現した短いトラックをつなぎ合わせてストーリーを描き出すそのスタイルに在りし日の面影を見るけれど、本当のところはわからない。全てがニセモノ、つかみ所はどこにもなく実体なんてないように思えるけれど、何かが起こりそうな不穏な音楽がここにある。








10. The Moonlandingz - Interplanetary Class Classics



暗がりで出会う道化師。The Fat White Familyのサウンドをベースにサイケを少し混ぜてメロドラマみたいな大げさな感情をプラスする。出来上がったのは怪しさ漂う舞台劇、大仰に見得を切ったヴェルヴェッツマナーの物語が展開され、混乱が調和して怪しいことが普通になる。正しさとはなんなのか?あたるライトの色次第で如何様にもみえるこの音楽、事実はひとつ、しかしそれが真実とは限らない。やり過ぎでもない、くどくもない、This is サイコーにちょうどいいサイケ、ショーンはおろかたぶんオノヨーコだってそう叫ぶ。











2017/11/23

Hunckに思うバンドのルックスとマジック

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Hunck - Never Had a Dream


なんだかんだこういう感じ好き。いいメロディでさらっと良い曲でほどよくロマンティクで押しつけない、きちんと喋ったことないけれどきっと良い奴なんだろうなってそんな風に思うクラスメイトみたいな曲。こんな風にやられたら悪いだなんてとても言えない。もちろんいい、好き。







しかし本当にお前がやっているのかよ?という顔。世の中のいいバンドは二種類しか存在しない、ルックスがいいから音がいいバンドと音がいいからルックスまでがよく見えてしまうバンドだ。最終的には素晴らしいバンドの全てはルックスがいいとそういう結論にたどり着くわけだけど、つまりこいつらいい顔してる。





でもだよ、でも、Little Womenってタイトルでこのジャケットはないって。あふれんばかりのこの胸毛、生い茂る草原、これが俺なりの若草物語だっ!ていやいやそんな邦題知っているのかって話だよ(でももしかしたら知っているのかもしれない)。
若草物語じゃないとしたらじゃあなんだ?そこに意味などないのか?モジャ公だって21エモンだって関係ない?


Hunck - Little Woman


でもまたこの曲がいい曲で……そしたらなんだかこの胸毛ジャケットも悪くないんじゃないかって思えてきた(もう若草物語ってことでいいじゃないか)。恐るべきバンドのマジック、素敵な胸毛。このジャケ、セルジュ・ゲンスブールみたいじゃん、今ではすっかりそんな感じ。






2017/10/08

頭の中 世界の変容 〜The Caretaker - Everywhere At The End Of Time Stage 3〜

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これは絶対リアルタイムで聞いた方が良いタイプの音楽。もちろん後から一気に聞くのもいいけれど、連続ドラマや連載漫画みたいに少し間が空くからこそ考え感じられるのもあるんじゃないかって。全体の流れはなんとなくわかっているんだけれど、どうなるのかが気になって繰り返し読んだり見たり聞いたりして、少しずつ自分の中で消化されていくって感覚が味わる。そうだからつまりは最高の体験ってわけだけど。


夢の続きからこの旅は始まる。ぼんやりと思い出されるかっての出来事、薄れゆく遠い昔のように感じられるそれら。Stage 3まで来てやっとわかった、Stage 1や2でも使われてたこの繰り返されるフレーズこそが思い出なんだと。そして次第に靄がかかり距離が生まれてぷつりと切れる。

Stage 2にあったノスタルジックな心地よさは失われ、終わりを予感させる不穏な空気が全体を支配する。それでも懐かしいという感情だけは残っていて、それが居心地の悪い快感と不安を連れてくる。

ひょっとしたら記憶とは失われるものではないのかもしれない。Stage 2からStage 3、そのジャケットに描かれているようにあるものがまるで違った風に見え、同じものだと認識できないでいるだけなのかもしれない。頭の中、世界の変容、認識するということ




記憶は無意識に支配され、形を変えた思い出は不穏な空気を醸し出す。しかしそこに恐れはなく、終わりの予感を漂わせたまま消えていく。

そう、決して恐れを感じることはない。考えてみれば恐れとはまだ起こっていない未来に対する感情で、過去と現在しかない思い出の世界には存在し得ないのかもしれない。思い出の世界には事実しか存在しない、それがその時々によって違った様に感じられるとしても。

聞いている時、生まれるこの感情は希望や絶望といったものではなく不安ではあるけれどもう少し穏やかな感情で……それをなんと言ったらいいかわからないけれど。


今回は全六作で早期発症型認知症の人間の記憶が失われていく様を描く、最初にその言葉を聞いた時には何言ってんだこいつは?と思ったけれど、こうやって間を起き段階を踏んで少しずつ消化していくとこの言葉もわかるようなそんな気もしてくる。

いやまぁよくはわからないんだけど、夢の中で考えるみたいなそんなぼんやりとした感覚を聞いている間に味わえるのはいいなって感じるわけで、ええっと、だからつまり……素晴らしい。









2017/09/17

The Fake of the Fake Hype Williams 〜ニセモノのホンモノのニセモノ〜

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Hype Williamsまさかの復活。なんの前触れもなく突然に。
だが俺たちは奴らじゃない。One Nation以外の全てのものはニセモノだ。そう言って帰って来た見知らぬHype Williams。
お前は誰だ?何がしたい?Dean Blunt & Inga Copeland、それが僕にとってのHype Williamsだったはずで、いつの間にか僕は違う世界線に迷い込んでしまった。これがシュタインズゲートの選択か?たぶんそうなのだろう、意味はなくとも何かある。ふざけた謎とロスタイム、それが世界を面白くする。Hype WilliamsのRainbow Editionこれはいったいなんなんだ?




というかそもそもHype Williamsって名前自体がヒップホップの有名ビデオ・ディレクターの名前のパクリだったわけで、その時点でもうふざけてた。俺たちは偽者で誰でもない、ただいい音がそこにあるだけだ、そんなメッセージが込められたいたようにも思えるし、その真面目にふざけた精神性こそが偽者のHype Williams一番の魅力だったように思う(でも怒られたのかまずかったのかその後Dean Blunt & Inga Copelandと名前を変えてHyperdubからリリースすることになった)。

このどう聞いても良い曲で、どう聞いてもSadeのThe sweetest tabooのカバーを違うものとしてアルバムに入れちゃうくらいにふざけてた。


Hype Williams - The Throning

偽者の名前で偽の曲を最高にクールに仕立て上げる、これこそが僕にとってのHype Williams、なんだかよくわからない謎の魅力。本物と偽物の境界線、胡散臭さいフェイクのリアル、仮想世界の現実と現実の中の仮想世界、お互いのコスプレをする王子と乞食、Burialの顔をはっきりとイメージできるような世界ではこのふざけた姿勢は格段に輝くし、謎は謎のままがいいけれど、それでもやっぱり気にはなる。なっちゃうよね?だってそれが謎ってもんだから。



使っているマーク自体はHyperdubから出たDean Blunt & Inga Copelandの時と同じだし、音を聞いてもUntitledと似た雰囲気を感じるし(特に16曲目のPretty Young Ting)短い曲を繋ぐことによって映画的なシーンの移り変わりを表現するってスタイルは最近のDean Bluntのスタイルと一緒だし、少なくともDean Bluntは関わっているんじゃないかなって気もする。

でもInga CopelandもInga Copelandで、Copelandっていうバンドの復活に合わせるようにわざわざIngaを取ってCopelandと紛らわしい名前に変えて化粧品会社のロレアルのキャンペーンを皮肉ったタイトルのアルバム(Because I'm Worth It)を出したりしてたし、いかにも今までは偽者だったってやりそうな感じなんだよね。明確なヴォーカル曲が入っていないのもわざとだろうし、これは怪しい。




ちょっと調べてみたら、ストⅡを改造したやつをRainbow Editionって呼ぶみたいでタイトルからしてやっぱり怪しい(タイトルロゴが七色だからそこからRainbow Editionって呼ばれているらしい、Street Fighter 2  Rainbow Edition)。
オリジナルをいじくってグチャグチャにかき回しパワーアップさせたニセモノ、アルバムのタイトルはきっとここから来ているんじゃないかって気がする、いかにもHype Williamsらしいし。でもそのらしさっていったい誰のらしさなのか?やっぱりわからない。



Hype Williams - Smokebox. The Den. Percy


音楽的にはそれこそなんだかよくわからない映画を見せられたような不穏な雰囲気で好きな感じだったけど(これはなかなかの名盤)、しかし、しかしだよ、もうこうなって来ると覆面をしたHype Williamsのライブが見たくなってくるぜって話だよ。なぜだか3人いる!って余計にわけのわからなくなってしまう感じのやつ。

謎が世界を面白くする。わからないからこそ、わかりたくなるこの気持ち、七色に輝くニセモノ。そこにいるけど触れられないし聞けもしない、それが僕らのHype Williams、ふざけたニセモノ食わせ者。いつかなにかがわかったとしてもきっとそれも嘘だって信じられるような、彼らはそんな嘘をつく。









2017/09/01

そしていつも通りの夏へ…スパーズ移籍市場 17/18

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あまりに遅い夏からいつも通りの夏へ、終わってみればいつものスパーズ、我らがダニエル。8月18日にクラブレコード42mポンドでダビンソン・サンチェスを獲得するとそこからはいつものようにデッド・ラインデー付近の数日で帳尻を合わせるように足りないピースを埋めていった。これが出来るならもっと早く動けよって毎回のように思ってしまうけどクラブの規模的に他のクラブの動きを待ってからになってしまうのは仕方がない。当然リストアップはしてるんだろうけど交渉に入るのはある程度市場の流れが出来てから、そいうスタイルでずっとやって来たから最終日に上手く立ち回れるんだろうけど、それで失敗した年もあったから良くも悪くも諸刃の剣(選手がチームに馴染むまでの時間もあるし)。でも今年の夏は勝利を手にした夏だっていっても良いんじゃないかって気がする。大事なのはこれで結果を出すことだけどしかし字面を見ると悪くない。






獲得 IN
DF ダビンソン・サンチェス £36m
GK パウロ・ガッザニーガ ?(少額?)
DF フアン・フォイス £10m
DF セルジュ・オーリエ £23m
FW フェルナンド・ジョレンテ £15m

放出 OUT

MF ナビル・ベンタレブ £18m
DF フェデリコ・ファシオ  £3m
FW クリントン・エンジィ £6m
DF カイル・ウォーカー £45m
DF ケビン・ヴィマー £17m


なんだかんだで今年も若干のプラス(5mくらい?)さすがはレヴィ。目玉はやっぱりダビンソン・サンチェスで数は足りているCBの選手をいの一番にクラブレコードの金額を出してまで獲得したことからその期待の高さがうかがえる。

そしてオーリエ、アデバ以来の問題児の加入、いつオーリエ檻へという見出しが躍ってもおかしくないという触れ込みだけれど、実力は折り紙付き、でも性格は札付き、その辺りが果たしてどうでるか?なんだ話してみるといい青年じゃないかってそんな展開を期待しつつもいつ爆発するのかと毎週毎週目が離せない。でもウォーカーの半額で3歳若い同等以上の力を持った選手を獲得したっていうのだけを見れば本当にいい獲得だと思う。だから後は使い方、ブランド品をアウトレットで買ったみたいなお得感はあるけれどチームに上手くなじめるかって気になるのはほんと素行。




でもってジョレンテ、ソルダードと共に何年か前に噂になってたけどついに来た。チームに厚みを出すっていう点でこの獲得は大きい。正直32歳の選手に15mは高いかなって思いもあるけど、昨シーズンにスワンズで大活躍して(33試合11ゴール)ケインとまた違った高さとポストという明確な武器を持ったベンチも受け入れてくれるであろうベテラン選手ってもうこれ以上にないって位の人材。もちろんヤンセンにも期待したいけど(ヤンセン結局スパーズに残った)やっぱり去年の実績からくる信頼感が違う。ケインの二度の離脱であたふたした昨シーズンを繰り返さない為の獲得。試合終盤にボールをキープしたい時にもパワープレイでどうにかしたい時にも投入しやすいし時にはツートップで試合に臨むことだってあるかもしれない。

さらには将来の為の有望株フォイスを獲得し3rdキーパーをイングランドに馴染んだガッザニーガで埋めたというのもいい。これは中々の立ち回り(しかしパウ・ロペスの1年ローンはなんだったんだろう?)。欲を言えばお尻に問題を抱えていて稼働率に不安があるデンベレの代わりにボールを運べ散らせる選手、アンドレ・ゴメスが欲しかったけれどまぁこれは仕方がない。デンベレの年齢的にもそろそろ後継をってポジションだけれどここはウィンクスのブレイクに期待する。




ウォーカーの乱で幕を開けた17/18の移籍市場だったけれど終わってみれば昨シーズンのスカッドに厚みを出すことに成功したんじゃないかって思えるこの陣容、後はオーリエがいい子であることを祈るばかり。オーリエに問題がないのならば昨シーズンのチームを一回り大きく厚くするって目的は十分達成したんじゃないかなって満足のいく移籍市場だった。それでいて収支がプラスっていうのが本当凄いよ。





2017/08/02

あまりに遅い夏 スパーズ移籍市場 17/18

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遅い、遅い、遅すぎる夏2017。8月1日現在で我らがトッテナム・ホットスパーが獲得した選手の数はゼロ。コカコーラでもペプシでもお好きな方を頼みなよってそんな感じの夏の日々、気がつけば開幕まで二週間を切っているストロング・ゼロ、本当にこれでいいのかい?

いいわけないだろ、当然そう思うけどでもなんで選手が獲得できないかって事情もなんとなくわかるんだよね。ほら、去年の得失点差+60だったわけじゃん?次点がチェルシーの+52、その次がマン・シティの+41、最後2試合のブーストがあったとはいえぶっちぎりって言っても良い数字。そんなチームに選手を加えるっていうのがいかに難しいことかちゃんとわかってる。



ヴィマーを放出するという噂のあるCBはトビー・アルデルヴァイレルトとヤン・フェルトンゲンの鉄壁といえるコンビがいて3バッグにするにしてもマルチロールが出来るダイアーは出来れば外したくない、そうなると欲しいのは彼らが調子を崩したり怪我をした時に出番が来る控えなわけで、出場機会が保証できないから有望な若手選手はたぶん来たがらない。

しかも今季は移籍市場を飛び交う札束の額が半端なく上がってるからね。今シーズン他のチームが獲得したCBの値段を見てみなよ。チェルシーが獲得したリュティガーが33m、マン・ユナイテッドのリンデレフが30m、エヴァートンも頑張ってマイケル・キーンを30mで獲得した、つまりこのクラスの選手を獲るには30mポンドは必要だってこと。でもベンチに置いておく選手にそこまでお金を出せますか?ってそういう話。これは他のポジションも同じで出場機会を保証できないから思うように選手を獲得できないっていうのもわかるんだよね(同時に早めにチームを作んなきゃいけないんだよ、だからさっさと札束でどうにかしろ、他のチームはやっているし金あるんだろ?って意見もわかるけれど)。



今必要なもの

今のスパーズに必要なのは厚み。じゃあその厚みを出すにはどうすればいいかって言ったら、それはたぶん既存の選手をベンチに追いやれるようなスペシャルな選手を獲得することだよね。昨シーズン完成に近づきつつあったチームをもう一段上のレベルに押し上げるにはそれがたぶん一番。でもそんな選手が望む週給が出せるかって言ったらそれはなかなか難しいし、そもそもそんなレベルの選手はおいそれと市場に出るものでもない。だけどこれ以上を望むならと今は市場が動くのを待って獲得のチャンスをうかがっているんじゃないかなって。だから今の状況はもしかしたらアーセナルがエジルを獲得したシーズンに似ているのかも。あのの時もベイルが決まってそこから一気に話が進んだって感じだったから。

いずれにしてもどこでどう動くか見極めが肝心。望む選手を獲れないならば若手を育てればいいっていうのは最後の手段だと思うんだよね。マーカス・エドワーズにキャメロン・カーター・ヴィッカーズ、そしてカイル・ウォーカー=ピータース、もちろん若い選手のブレイクを期待したいけれど、それはしっかりとした土台があってのこと。+αをベースにしてはいけない。

それにウォーカーを放出した以上、右SBはきっちりお金をかけてレギュラークラスの選手を獲得しなきゃいけないポジションだからね(リーグに加えてCLもあるからトリッピアだけだと心許ない)。レヴィにしてはわりとあっさりウォーカーをマン・シティに売ったなって印象だったけど、その代わりとなる選手を未だに獲れていないのはきっと交渉が上手くいっていないんだろうなってそんな感じがしている。ここのポジションは積極的に動かない理由がないってくらいのところだから。


マスク・オブ・ゼロと遅すぎる夏

そんなこんなの獲得ゼロ。なんだかモヤモヤするのはたぶんあえて動かずチャンスをうかがっている部分と、水面下で動いてはいるんだけど上手くいっていないって部分が両方あるから。だからなんとも言いがたい。フラストレーションがたまっているけど、ある程度理解もできるってそんな状態。でもどうにかはしなきゃいけない状況だからきっと最終日付近で色々動くんじゃないかって気がしている(ヴィマー放出とモーソンへの猛アタックが同時に来るとか)。

過去最高のシーズンを送った後、結局こうなるのかっていう後手後手の夏。本音を言えばその前にどうにかして欲しいけど、結局はそう、奇跡を信じ最終日を待つ、いつものように。ラフィーが出るかシソコが出るかそれともエジルか?

こんな風にならない為には歴史と格とお金と全部が必要だよなってそんなことも思ったりもする。





                HEAVEN "IT'S NOT ENOUGH"